独学でもピアノを弾きたい!おうちでの練習のやり方がわからない!
という人のための、楽曲解説&練習方法
概要
25の練習曲最後の楽曲であり、恐らく25曲中最も有名な曲でしょう。種々のテクニックが満遍なく散りばめられていますが、曲の構造は理解しやすく練習を重ねればさほど演奏に手こずることはないでしょう。
対象レベル
- 書かれている音符、音価をある程度瞬時に正く読み取る能力が備わっている。
- 音階、ポジションの移動、和音の跳躍、装飾音などの導入期に学ぶテクニックを全て習得している。
- 付点のリズム、三連符など複雑なリズムを演奏することができる
参考演奏動画
練習のポイント
1〜8小節目
主題のフレーズは、右手・左手共にポジションの移動を伴う重音で構成されています。よくよく観察してみると、違う形の和音であったとしても共通の音、同じパターンの繰り返し等、共通性が多いことがわかります。
例えば1小節目の1、2拍目と3、4拍目は同じものの繰り返しです。2小節目は左手が全て同じ和音であり、右手の一見複雑そうなリズムパターンも記載の指番号を守れば、1-5を除き全て同じポジション内で弾くことができます。3小節目は左親指がミの音が多く、右手は2拍目で配置が変わった後はしばらくそのままの位置で弾けます。
移動の際はなるべくスタッカートの軽やかさを利用しましょう。重たく長く8分音符を弾いてしまっては、移動の妨げとなります。付点つきのリズムは、この曲を通して出現するので必ずクセを身につけましょう。弾きにくいのであれば、16分音符とその次の8分音符をひとまとまりと考え素早く弾き、16分休符を大袈裟に休んでみることでスキップのようなリズムを覚えることができます。譜読みの最中はついつい16分音符の後で止まってしまいがちですが、良くないクセになりやすいのでなるべく避けましょう。
9〜12小節目
9小節目のユニゾンはシャープの存在でやや弾きにくい形となっています。指番号は必ず守るようにしましょう。
まだ手の小さい学習者であれば、あまり鍵盤の手前で弾いてしまうと黒鍵を弾くために手を滑らせるような無駄な動きをしてしまいがちです。予め指が黒鍵に届くような配置、つまり鍵盤の少し奥側に置いておくことで、縦方向の動きをせずに弾くことができます。
三連符のコントロールがうまくいかなければ、拍頭の音を長めにとるような練習を取り入れることでアーティキュレーションがきちんと整理されるようになります。三連符が終わった後の8分音符は軽めに打鍵することで、次の重音のためのポジション移動に役立ちます。音符を読むことに必死になって指を置きっぱなしにしないように。
ここの右手の重音も共通する音(ここではソの音)があります。右手の親指が同じ鍵盤であるをということを念頭に置いておけば、高音部の音を弾くための指の位置も把握しやすいです。
17〜24小節目
移調してヘ長調になります。ファの音にフラットがつくので忘れずに。ひたすら三連符が続きますが、全音階と半音階をベースとした順次進行の集まりです。ポジション移動もあまりなく、同じパターンが反復されるので比較的弾きやすいパートです。
今まで軽やかにステップを踏んでた雰囲気から、なだらかで美しいフレーズ感を伴います。拍ごとに刻むような弾き方ではなく、なるべく横のつながりを意識しながら弾くとdelicatoな演奏となります。
23小節目のオクターブの跳躍は、手がまだ小さい学習者でしたら飛び込まずに少し跳躍の準備をするために間をあけて弾きましょう。多少の間のとりであれば、音楽的には問題ありません。
33〜39小節目
このパートも以前同様、共通する音探しから初め、重音ごとに移動する音にも規則性を見つけましょう。33小節目は音階のような進みになっているため、弾く鍵盤が一つずつずれていくことに気がつきます。
34小節目左手は2小節目で出てきた和音と同じです。左手の装飾音(前打音)は二つに増えていますが、焦らずきれいなアーティキュレーションで弾けるように意識しましょう。速すぎては聞こえずらく汚くなってしまいがちです。
35小節目はよく音価間違いが発生しやすいところです。ただの8分音符なので、拍をしっかりとってレガート奏法で滑らかに弾きます。
三連符のパートは、33〜34と同じパッセージの重音がバラバラになっただけなので、こちらも新たに譜読み作業を行う必要がありません。三連符の一つ一つの音価が規則正しい長さになるように意識してください。特に左手→右手と移る際につまづかないようにしましょう。
40〜44小節目
ここの16分音符は全て音階で構成されているため、譜読みに関しては難なく行えると思います。
無意識的に指を動かしても弾けるところなので、ついつい音の粒が不揃いになりがちになります。16分音符は4つで一つの拍であるということを理解するために、メトロノームで練習してみると把握が大変しやすくなります。
42小節目から始まる下りに関しても、左手の16分休符を拍の頭と認識せず、流れだけで弾いてしまうと指が転びがちです。ここもしっかり拍を意識しましょう。また、長いフレーズなので横のつながりを意識しなければ、ついつい拍の頭を刻みすぎてしまいぎこちなくなります。スピードに慣れてきたら、クレッシェンドを伴って一息で弾けるとテクニック的な魅力が伝わるでしょう。